2019年9月13日、2019年度「第1回デザイン×ビジネス×アントレプレナーシップの未来を考える」シンポジウムを開催した。「デザイン×ビジネス×アントレプレナーシップ」という、現在九州大学にて進行中の新たな大学院教育プログラム構想について、ビジネスの最前線でイノベーション創出を手掛ける第一人者を招聘して議論を深めることを目的として、本シンポジウムを実施した。会場には福岡市内の企業に勤めるビジネスパーソンを中心に、定員を超える参加者が集まり、熱気あふれる会となった。 冒頭、鶴野・芸術工学研究院副研究院長、丸野・教育担当理事から、デザインとビジネス、そしてアントレプレナーシップという異なる領域の知を融合させることで、これまでにないイノベーション人材育成の場を創出することへの期待が寄せられた。

第1部では、国内のコンサルティングファーム、外資系デジタルプラットフォーム企業、産業創出を目指して起業家支援を行う投資家という多彩な立場を代表して、シンポジスト3名がそれぞれの取り組みについてプレゼンテーションを行った。

株式会社シグマクシスでデジタルシェルパ サービスデザインチームのディレクターを務める田村浩二氏からは、デジタルテクノロジーを軸に、サービスデザインやアートを駆使して国内外の様々な企業とともに新規事業やサービス、さらにはジョイントベンチャーを通じて、一方通行の「コンサルティング」ではなくクライアントと協働しながら価値を創出する同社の取り組みと、それを担う自律型人財の育成の仕組みについて発表があった。

SAPジャパン株式会社バイスプレジデント兼チーフ・トランスフォーメーション・オフィサーの大我猛氏からは、基幹システムの開発を中心としていた同社が、この10年間でIoTやビッグデータほか最新テクノロジーを活用した新規事業によって新たな事業の柱を作ってきた過程について、イノベーションを推進する鍵は「People, Process, Place」にあると強調された。すなわち、様々な分野を横断して事業機会を見出し、デザイン思考をベースにした共通理解をもとにして、独自の場を設けて価値創出に取り組むことが重要であると話された。

REAPRA創業者・諸藤周平氏からは、複雜性の高さゆえに足元の産業規模が小さいものの長期で成長することが見込まれる領域において「熟達」を続けることで、結果としてイノベーションが創出される、という見解が示された。

タイトル イノベーションの人材要件
開催日時 2019年9月13日(金)18:00~20:00
開催場所 ダイアゴナルラン福岡
主催 九州大学大学院芸術工学研究院、九州大学ビジネス・スクール(QBS)、九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(QREC)

シンポジウム概要

「デザイン×ビジネス×アントレプレナーシップ」をキーワードに、自ら事業を興す起業家、あるいは既存の組織の中で新規事業を立ち上げるイントラプレナーとしてイノベーションをゼロから構想して形にし、社会実装まで実現しきる人材には、どのようなケイパビリティが求められるかを問う。外資系グローバルB2B企業、起業家育成支援を行うベンチャービルダー、大小の国内企業の新規事業開発支援を行うコンサルティングファームの代表者を招いて、人材要件、発掘・育成手法、そして新たな価値創造を担う意志にあふれるビジネスパーソンの自己研鑽において有効なアプローチまで、幅広く議論する。

当日の進行

18:00 司会主旨説明
18:05 開式挨拶 鶴野 玲治(九州大学大学院芸術工学研究院 副研究院長)
18:10 理事挨拶 丸野 俊一(九州大学理事・副学長)
18:15 プレゼンテーション1  田村 浩二(株式会社シグマクシス デジタルシェルパ サービスデザイン ディレクター)
18:30 プレゼンテーション2 大我 猛(SAPジャパン株式会社 バイスプレジデントチーフ・トランスフォーメーション・オフィサー)
18:45 プレゼンテーション3 諸藤 周平(REAPRA PTE. LTD CEO)
19:00 パネルディスカッション&質疑応答
19:55 閉式挨拶 高田 仁(九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター センター長)
20:00 閉式