メッセージ

九州大学 大学院芸術工学研究院
研究院長 谷 正和

 このウェブサイトは九州大学大学院芸術工学府、経済学府、ロバートファン・アントレプレナーシップ・センターが共同して申請し、平成31年度から採択された概算要求による事業「未来を拓く『デザイン学とビジネスマネジメント・アントレプレナーシップ』が融合した大学院レベルの実践型共創教育の実現~人間理解に基づいたデザイン思考とマネジメント力を備え、専門性を越えたメタの視点からイノベーションをリードし、新たな価値を創造する人材の育成~」の活動成果をまとめたものです。

 この事業の目的は、九州大学の特長であるデザイン学とビジネスマネジメント並びにアントレプレナーシップ教育を融合した大学院レベルの新しい教育プログラムを開発することにあります。その教育プログラムによって、世界的な課題に挑戦する新たな事業価値を創造し、社会にイノベーションを生み出し、国際社会で持続的に活躍し得る新世代リーダー育成を目指しています。そのため、この事業では諸外国のデザイン教育制度、企業のデザイン人材に対する期待などを詳しく調査して、それをもとに、デザイン、ビジネス、アントレプレナーシップを融合させる教育プログラムの開発を進めています。その特定のプログラムに限らず、芸術工学府では現在大学院改組を準備中で、この事業で得られたデザイン教育に関する知見を芸工学府全体の新たな組織計画に反映し、魅力的な大学院教育組織を構築すべく検討を行っています。

九州大学 大学院経済学府 産業マネジメント専攻 [ビジネス・スクール;QBS]
専攻長 永田 晃也

 日本では、「イノベーション」という語が紹介されはじめた当初、「技術革新」と訳されたため、専ら技術的な進歩を伴う新製品や新製法をイノベーションと理解する傾向が生じました。イノベーションが技術革新に限らず、新たな価値を生み出す革新を広く含む概念であることは、今日では常識に属するようになりましたが、その背景には「非技術的イノベーション」(Non-Technological Innovation)の重要性に対する認識の高まりがあると思われます。このタイプのイノベーションの典型が「デザイン・ドリブン・イノベーション」、すなわち新たな意味を創造するデザインが駆動するイノベーションです。

 このデザイン・ドリブン・イノベーションの担い手となる人材育成プログラムが、芸術工学府、経済学府産業マネジメント専攻(ビジネス・スクール)及びロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターによる三位一体の取組として順調なスタートをきり、既に多くのビジネス・スクールの学生が積極的に参加していることは誠に喜びに堪えません。この基幹総合大学である本学ならではの領域横断的な取組が一層の発展を遂げられるよう、ビジネス・スクールとしても継続的にコミットしてまいりたいと存じます。

 本ウェブサイトにより学生、産業界及び一般の市民の皆様が、本プログラムに一層の関心を寄せられることを願っております。

九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター [QREC]
センター長 高田 仁

 QREC(ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター)では、2010年12月の設立以来、年間30以上もの多様なアントレプレナーシップ関連科目を、全学部・学府のみならず学外をも対象に提供してきました。不確実な状況を厭わず、積極的に課題と機会を見出し、そこから新たな価値創造を実行できるアントレプレナー人材は、これから益々重要性を増すといえます。

 このような次世代の人材育成に向けて、「デザイン☓ビジネス☓アントレプレナーシップの融合」を謳った本プログラムは、芸術工学府および経済学府(ビジネス・スクール;QBS)という、本学固有の特徴や強みをより積極的に結びつけている点が特徴です。即ち、QRECのアントレプレナーシップ教育によって「イノベーションの機会を見出す」、 芸術工学府における深い人間理解に基づくデザイン教育によって「イノベーションに目的を与える」、QBSのビジネス・マネジメント教育によって「イノベーションに実現性と継続性を与える」という三要素を統合し、真のイノベーション人材を育成することを企図しています。

 本ウェブサイトに目を通していただくと、プログラムはまだ助走のフェーズにあるものの、既に多様な可能性が萌芽していることを確認いただけます。今後の取り組みにぜひ注目いただき、学内のみならず学外からも積極的に参画いただけることを大いに願っています。